イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

3月6日(金):ヘルマン・ヘッセ

アウグスツス

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ヘルマン・ヘッセ全集第十巻、東方巡礼に収めれているメルヘン(童話)の題名であり、主人公の名前である。童話といってもあくまでも大人のための童話であり、しかし、世間の大人になりきれない人間のための童話である。ヘッセ研究とその翻訳については、右に出る者はいないとされている、高橋健二氏は、この作品について、「ヘッセの書いた全ての中で最も美しいものといえよう」とまで言い切っている。・・・この本の裏書に、’63.12.29・yosinori.miura.とある。私が19歳の頃である、トホホホ50余年も昔のことである。・・・実のところ、昔、名古屋のある教会のクリスマスの祝会で、司会者が意地悪(?)な提案を持ち出した。「誰も出し物なしに祝会に来てはならない」と言うお達しであった、勿論冗談であるが、それでも皆喜び勇んで準備した。都会の教会の信徒たちは、芸達者な者が多い。あれやこれやの(出し物)で大いに盛り上がった。さて、困ったのは、田舎者のちえ子と私である。主に捧げる芸は何も持ち合わせていなかった。しかし、突如として、かの童話を思い出した。私はクリスマスには恰好のお話に思えた。それで話したのが今回紹介した童話である。殆ど即興である。それが好評であったか否かは不明である。しかし、秋田へ帰ってきてから、ちえ子があのお話を書けと言い出した。・・・こうして、「大人のための童話」ができた。さて、原作の物語はどうだったのか、心配になってきた。何しろ45年前に多分一度読んだきりだったからである。自宅の小屋に放り込んで置いた本の中によくもまあ、残っていたものである。そのメルヘンを読み直してみると、ビックリ仰天、まるで、「話」が違うのである。「噴飯」ものとはこういうことを指すのだろうと思った。・・・ヘッセ叔父さんが天国にいるなら、今頃、腹を抱えて笑っておいでだろう。全く呆れる他ないのであるが、多分許してくれるだろうと思う。この偉大な詩人の本は沢山買って読んだし、尊敬もしていた。多くの事を学ばせていただいた。それに、何より、主題をずらしていないということである。・・・この「絵本風書いた童話」について、作者なる者が解説するのは、不本意であるし、それは丁度、彫刻家が自分の作品をあれこれ説明するようなもので、ヒンシュクを買うのに似ている。それは、作品自体が観るもの語るべき事柄だからである。しかし、私は一信仰者としてこの作品を書いた「愛される者ではなく、愛する者になりなさい」これがサブリエルのメッセージである。人から愛されることだけを求めると、必ず不幸になる。これが不思議な神の世界である。聖書とイエスの言葉は常に『互いに愛し合いなさい』である。

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