中国に伝わる民話を、深代惇郎氏が多少脚色しながら、天声人語に書いている。面白いので、孫引きになるが紹介しよう。
陳家で結婚式があるのでごちそうを出すことになった。陳さんは動物たちに相談したら、みんな大賛成だ。そこで、「ガチョウを絞めよう」といったら、ガチョウは「ご冗談を。私は卵を生んでいますよ。あそこに役立たずのオンドリがいるのに」
といった。オンドリは「何を言うのです。私は朝を知らせる神聖な役目がある。あそこに羊がいる」といった。
羊は「私の毛で、あなたがたは冬を過ごしているじゃありませんか」と穏やかに犬の方に目をやった。犬は「なんて恩知らずだ。イタチの襲撃を防いでいるのは誰だかご存じか。
「馬がいるじゃないか」と吠えたてた。馬は「あなた方が遠い所へ行けるのは誰のおかげだ。同じ背中でも牛とは違う」と答えた。その言葉を聞いて
牛は怒った。「私なしで、耕すことが出来ますか」・・・・・
この話は何処まで行ってもまとまりそうもなかった。とにかく
話が「御馳走」に戻るたびに、全員、「賛成」と言い続けた。