イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

7月10日(金):反面教師・マルキオン

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奇妙な男がいた。とある教会の監督の子として生まれたが、異端的信仰(又は道徳的失敗)の故に破門されてローマへ出たが、あらゆる教会から拒絶された。スミルナの監督は「君はサタンの長子である」とまで言っているという。正統的教会から排斥されたマルキオンは、自分流の聖書を編纂した。まず、旧約聖書を除外した。この乱暴者はマルコ、マタイ、ヨハネも除外し、ルカの福音書だけにした。イエスの誕生の次第なども自分の主張に合わないので、イエスは天からカペナウムの会堂に降りてくるような話に変えた。・・・・・・

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しかし、彼はパウロの信奉者でもあった。そして、改ざんしたルカの福音書パウロの書簡十通を彼らの聖典として、教会を形成した。その教会は目覚ましい成長を遂げた。当時、マルキオンの教会は世界を覆うとまで言われ、正統的教会は片隅に追いやられ

驚くべきことに五百年にも及んだ。ハルナックの言葉によれば、

「第二世紀において、パウロを理解した異邦人キリスト者が一人だけあった、しかも彼はパウロを誤解していた」というのである

そして、マルキオンの編集した「パウロ」は、パウロよりパウロ的であったとも言われている。その頃は正式にカトリックと呼ばれていた正統的教会は、この事態に愕然としたであろう。それまでバラバラであった、新約聖書の「編纂と聖(正)典化」が絶対的に急務となったのである。マルキオンの教会は忽然と消え、その「聖書」も今は存在しない。しかし、そのおかげで、新約聖書が生まれた。

彼は、異端者であったが、その影響は不朽である。

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参考資料は、「教会史」 茂泉 昭男 著

      「新約学入門」 竹森 満佐一 著

学生時代に学んだ、教会史と新約学の二冊が本棚の並んでいたのでいたので、思わず手に取って、「かの偉大なマルキオン」の部分を改めて読んでみた。茂泉教授は、高校で言えば担任のような方で主任教授であった。これから講義はさらに進んで、アタナシュウス信条まで至った。胸の躍る懐かしい学びであった。夜学はさすがにきつい、やめようかと思った時も、励ましてくれたことが忘れられない。・・・・・

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今年の梅雨は、例年になく秋田でも雨が多い。南の方での豪雨は

すさまじいものがある。せめて、友人、知人に被害が無いよう祈るのみ・・・・