『あなたの宝のあるところに、あなたの心もある』（マタイ６章２１節）
ユダヤ人は「天にある宝」という言葉をよく知っていた。この世で行う親切な行為は、天に宝を積むと考えた。・・・・・・
ユダヤ教に改宗したモノバズという王についての話が残っている。「モノバズは飢饉のときに、彼の財産を貧民に施した。彼の兄弟たちは、人を遣わし彼に言わせた。『あなたの父や、祖父が金を貯えて、先祖から受け継いだ財産を増やしたのに、あなたは、あなたの財産ばかりでなく先祖の財産も失ってしまいました』これに対し彼は答えた。『わたしの先祖は地に宝を積みましたが、私は天に宝を積みました。私の先祖は人間が支配する場所に宝を積みましたが、私は人間が支配できない場所に宝を積みました。私の先祖は利子を生まない宝を集めましたが、私は利子を生む宝を集めました。私の先祖はこの世に宝を積みましたが、私は来世に宝を積みました』」。・・・・・・
自分のために積んだ宝は失われるが、喜んで人に与えた宝は天に貯えられる。このことをイエスもラビたちもはっきりさせたのである。
このことは、のちにキリスト教会の原則となった。初代教会は、常に、
貧民、病人、困窮者、身寄りのない人を親切に世話した。ローマのデキゥス皇帝の非道な迫害の折に、ローマの総督が、教会の執事ロレンティウスに対し、教会にある財産をすべて持って来るように命じた。すると教会の執事は、給食を受けているやもめや、みなしご、看護されている病人、貧民を総督の前に連れて行き、「この人たちが教会の財産です。他には何もありません」・・・・・・・・
スペインには、「屍衣にはポケットがない」という不気味な諺があるという。この世からあの世に持っていかれるただ一つのものは、品性である。
その品性がすぐれていればいるほど、天上の宝も豊かになる。イエスはこの教えの終わりに、『人の宝のあるところに心もある』という真理を述べられた。価値あるもの、心を傾けるものがすべて地上にある者は、来たるべき世には何の興味も持たない。永遠を見つめつつ一生を過ごす者はこの世のものに大きな価値を置かない。尊いものがすべて地上にある者は、悲しみつつ、後髪引かれる思いでこの世を去って行く。来るべき世を思いつつ一生を過ごした者は、喜んでこの世を去る。神のもとへ行く待望の時がきたからである。・・・・・・・
ある人が、友人の邸宅招かれた。昔の荘厳な城を改築したもので、すばらしい「家」であった。彼はあとで、ポツンと同伴していた人に言った。「
こういうものがあるから死ねないのだ」・・・・・・・
イエスは、この世に価値がないとは決して言わなかったが、その価値はこの世自体ににあるのではなく、この世が指し示すものにあることを繰り返し明示され、また暗示された。この世は人生の目的地ではなく、目的地に行く行程である。従って、人は、この世とこの世のものに心を奪われず、
常に彼方の目的地を注目していかなければならない。・・・・・・
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今年の恩寵教会の主題句は「あなたの宝のあるところに、あなたの心もある」との、み言葉をいただいた。人の行動は、キリスト者であるなしにかかわらず。その生活ぶりを見ていると、その人の、大事なものは何か、おおよそ見当がつく。昔、父親がこんなことを言ったのを覚えている「ひとは好きなことのために使うお金は、惜しいとは思わないものだ」と。今、父親の年代に近づいてみるとやはり、本当のことだなと思う。学生時代エンゲル係数ということを聞いた。家計の中に占める、食費の割合によって
貧富の差を計るという理論であったようだが。私たちの心のエンゲル係数は、どの位の割合でイエスが占めるているだろうか。食費の割合が多ければ貧しい家庭である。イエスの割合が多くなれば、これもまた心も、実際の財布の中身も貧しくならざるを得ない？？？？？？？・・・・・・
今年はやたらに雪の日が多くて、身動きできない。信徒さんのところを回りたいのだが、出来ずにいる。寒に入ると割と天気が、落ち着いてくる。
