イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

4月11日(日):犬の見る夢

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今年の冬は、はなから雪が多くて温暖化も一時停止かと思われるほど雪が降った。犬のマルを小屋においておくのは可愛そうなので部屋へ入れた。老犬で、奴も後期高齢者に属する。奴はすっかりご機嫌になったが、慣れてくると、寝ながら大いびきをかき始めた。奴のいびきは三種類ある。・・・・・・・

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①・・大いびき。蒸気機関車が走り出す様に、グウ~、グウ~、グウ~、と大いびき。顎を床につけ、這いつくばって、いびきをかいている。奴は夢を見ている。野山を息せき切って駆け巡っている夢を。いつもの杉の木立を、広い野原を、小高い丘を、縦横無尽に走り回っている。それが奴の一番の楽しみなのだから・・・・・・

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②・・ワン、ワン、と声を出す。起きたのかと思うと眠ったまま、声を出している、奴は何を夢見ているのか?。察するに、きっと外へ飛び出したいのだろう。退屈するといつも私に、ワン、ワン、とねだる。いつも、わたしが山へ行く服装をすると、飛び上がって喜ぶ、きっと、「おとーさん、山へ連れてって」とねだっているのだろう。

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③・・クン、クン、と、なく。御歳12歳の老犬が、生まれたばかりの子犬のように、声を出す。「老病死」。釈迦の悩みも奴に迫っているのだろうか。あるいは、随分昔に亡くなった、母親の夢を見ているのだろうか、クン、クン、というなき方が、やけに悲しそうに聞こえる。

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