イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

4月14日(水):運転免許証

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あと一週間ばかりで、ちえ子の免許証の更新がある。「高齢」なので、講習と実地の検査を受けなければならない。普段は、ほとんどというより全く車を運転しない。させない、と言った方がいいかも知れない。運転技術の劣悪さは目に余る。結婚したころ、私の父が「義則は、酒を飲むことがあるので、あなたも運転免許を取りなさい」と言われたらしく、免許を取ることになった。それは、いいが運動神経がやや劣る。通常のコースでは、ほどんど合格する見込みがない。そこで、特訓を始めた。自動車教習所は夜間は閉鎖している。そこで、夜、こっそり教習上のコースへ入り込み特訓を始めた。教習所は警察署の裏側にあったが、誰もとがめだてしなかった。およそ一月ばかり、毎夜2時間ばかり練習をした。そんなこんなで、辛うじて試験に合格した。・・・・・・・

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それで車を一台あずけて、運転させてみた。町へ買い物に一人で行かせたのだが、一時間もしないうちに電話がかかってきた。「事故ったと」。急いで現場へ行って見ると、なるほど駐車場で、正面衝突していた。駐車場内だったので、たいした損傷はなかったが、よりによって、知り合いの農協の組合長の車と衝突していた。・・・・・・・

それでも、仕方なしに運転を続けさせていたが、今度は街中で偶然ちえ子の車の後を走っていると、完全信号無視で突っ走っていた。アワッ、アワ、アワ、というしかなかった。

またある時は、これも偶然だが、自宅に帰る途中、前にちえ子の車が走っていた。そのまま知らぬふりしてついて行くと、少し急な左カーブを曲がり切れず、左の後輪が、路肩をはみ出し、あわや田圃へ転落しそうになった。恐ろしいのはそのことを本人は全く気付いていないのである。・・・・・・・・

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三度目は、川の堤防を走っていて左に下る道路のところで曲がり切れずに、あわや数メートル転落寸前で車体の底が地面に着いて、止まった。あのまま落ちていたら、だだでは済まなかった。命拾いした。不思議にも三度が三度とも私の目の前で起こった。以来。車の運転はさせていない。それでも、免許証を切らすわけにはいかないので、3年ごとの更新の時には、何日か特訓をする。・・・・・・・

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免許の更新は一週間後である。今日から、県の自然公園、北欧の杜には格好の駐車場がある。広いし今の時期車も多くはない、そこで、練習を始める。・・・・・・・

昔、自衛隊に入ると必ず運転免許は取らなければならなかった。それもいきなり大型免許である。普通の民間ではそんなことはできない、まず、普通免許を取って、それから何年かして大型免許が取るという仕組みだが、自衛隊ではいきなり大型から始める。こいつはなかなか厄介だ。教官が隣に乗っていて、太い棒を持っている。ヘマをやると、ヘルメットに一発、ガ~ン~、とやられる。頭がクラクラして来る。意地の悪い教官は、半長靴で蹴とばす。まぁ、そんなこんなの免許取得だった。・・・・・・

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自衛隊を退職し、娑婆(自衛隊では当時、一般社会のことを、シャバと呼んでいた)へ出て間もなく車を買った。ブルーバード。今では高級車のようだが、当時は大衆車であった。今ででも覚えている。70万円だった。新車に乗ったのはいいが、三月もしないうちに二度も事故を起こした、幸い人身事故にはならず、修理代とローンで二年ばかりエライ貧乏生活をしてしまった。・・・・・・・・

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運転技術の未熟さを思い知らされて、特訓を自ら始めた。秋田県本荘市に勤務していた時なので、40分ばかり走ると、鳥海山への上る道路がある。日光のいろは坂みたいな曲がりくねった道路で、そこで練習を始めた。夜間である。夜だと対向車もヘッドランプを点けているので、急カーブでも出合い頭に衝突する恐れがない。それで毎夜の如く鳥海山に出かけた。生意気に車運転操作の読んだりして、「逆ハンドル」の操作を覚えた。急なカーブでハンドルを切ると、後輪が反対方向に流れて、スリップする。要するに尻を振るようになるのだが、ほんの少し、逆にハンドルを戻すと、尻の振りが小さくなり、安全にカーブをスピードを落とさず曲がることができるのである。これは、雪道のカーブにも応用できる。ただし、しくじると大変なことになるので、要注意のテクニックでもある。・・・・・・・・

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以来。半世紀にわたって一度も車の事故を起こしたがない。二度ばかり衝突されたことはあるが百パーセント相手の過失であった。この間、地球を何十回も回るほど、走ってきたが、無事に今日まできた。・・・・・・・・・

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いずれにしても、この一週間で、合格するようちえ子を特訓しなければならない。

しかし、どうしたもんじゃろうねぇ~・・・・

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う~ん、ちえこさん運動神経鈍いからねぇ・・余計なお世話、俺が何とかする

 こうして振り返ってみると、やはり、神の守りがあったのかな。と思う。私もここ何年か前から、スピードを少し、落とし、ゆっくり走るようにようにしている。事故は一瞬のうちに起きる、人のおごりも、一瞬のうちに崩れる。岡崎神父様が書いておられた。幸福の絶頂にある時も、5分後には思わぬ悲劇に見舞われることがあるのだと。私たちは、絶えず、そうした畏れを忘れてもならないのかな、とも思う。私たちは、自分の髪の毛一本すらどうすることもできないのだから。・・・・・・・・・

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