ニュートンのリンゴの話は余りに有名である。しかしリンゴの実が落ちたということから引力を思いついたその事だけが、ニュートンの名を偉大なものとしているわけではない。ニュートンが中学時代の話である。・・
ある日彼は、水車を利用した粉ひきの機械を組み立てた。そして、学校で実験して見せ、生徒仲間に見せてやろうと考えたのでのである。実験は見事に成功した。小川の水は水車を回し、歯車と歯車とはうまくかみ合って、臼の中では完全に粉を引けたのである。ニュートンは鼻高々だったが、ところが日頃からニュートンとたえず肩を並べて競い合っていた少年が、悔しかったのか「じゃ、聞くが、この水車の力が何故こんな風に粉を引くのか、説明してくれたまえ」と聞いたのである。ニュートンは返答に困ってしまった。普段ニュートンを快く思っていない少年たちは、すぐに
そうだ、そうだとはやしたててニュートンを攻撃した。
「ただ、作ると言ったって、これは、僕が誰にも教わらずに作ったんだぞ」。ニュートンは顔を真っ赤にして抗弁した。ところが「説明できないのか!」。「それじゃ、君は器用というだけだな」と言うなり、腕っぷしの強い少年がニュートンの横腹をけりつけたのである。彼は倒れてしまい、すぐには立ち上がれなかった。・・・・・・
しかし、それ以後ニュートンは変わった。理論と実際が互いに裏付けあってこそ、新しい方向が生まれ、真の知恵となることが分かったのである。
「もし、腹をけられていなかったならば、私の一生は、ただ器用だけでおしまいになっていたことであろう」と。名を遂げた後のニュートンは述懐している。
朝の散歩に犬のルカを連れて行く。メス犬のせいか、まだ生後9か月のせいか、からっきし意気地がない。ウオーキングコースに、幅40センチばかりの側溝がある。そこを飛び越えられないのである。側溝の前でしり込みして座り込んでしまうのである。リードを引いて無理やり引っ張るとやっと飛び越える。しかも後ろ足をしたたか、U字溝にうちつける始末である。ピヨコタン、ピヨコタンとびっこを引いて歩く。さて、翌日はというと、いとも簡単に飛び越えるのである。不器用でもなんとかなる。