イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

9月30日(木):神に近き子ら Ⅲ

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・・・・日暮れのブランコ・・・・

とにかくのっていたいのだ。

『ウー、ウー、』とのどの奥から声をあげて、

校庭のかたすみに すえられた

長いつなのある ブランコに。

 

日暮れになると、

まことは、ここにやってくる、

ここがいちばん好きなのだ。

ぶらんこにのっていると、

ぶらぶらゆれて

同じところを行ったり来たり、

それより外に はみ出すことがない。

ここにいると、母親や先生にガミガミ言われることもなく、

同じ年頃の子どもに馬鹿にされることもない。

そんな人間も、また車もこないから、

おそろしい交通事故に会うこともない。

安全に隔離され、保護されているので、

だれのお節介をうけることもない。

 

まっくらになるまで、

すきなだけ このブランコにのっているのだ。

誰かが『おかえりよ』と言って

迎えにやってくるまで

だまって ひとりぽっちで

ぶらぶら ゆれていよう。

何も考えることもないから、

胸で思いきり空をけりあげたり、

地面を足でこすったりして、

コンニャク色の校庭のかたすみで

あっちにゆられ、 こっちにゆられ

いつまでも、このいちばん好きな

ブランコに乗っていたいのだ。

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私もまこと君のような者かな、ことし、屋敷内にブランコを作ろうかと思っている。春先に材料を調達してあるが、今年の暑さでのびのびになっている。