母あらば 死ぬ罪犯すことなきと
知るに尊き 母殺めたり
★私の母が生きていたら、ひもじい思いをぜず、罪を犯すこともなかったろうに、そのたれにとっても「尊き母」を殺めてしまった。罪は限りなく重い。
詫びる日の 迫り来し今ふるえつつ
憶ふことみな 優しかりけり
★刑死の日が近づいてくる。心がうちふるえて來る。しかし、あの人、この人、皆優しく、優しい世界を見せて頂いた。
遺愛集をいう歌集を出版したこの歌人は、辞世の歌を一つ遺している。
この澄める こころあるとは識らずして
刑死の明日に 迫る夜温し
・・・・島秋人はキリスト者として処刑台に立った。享年33歳。・・・・