イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

6月22日(日):悔いはない 悔いはない

6歳の時

道端に落ちてたあんび餅

拾って食べた

悔いはない 悔いはない

 

15歳の時

お下げ髪が通り過ぎて

行った

悔いはない 悔いはない

 

20歳の時

油まみれで働いた

油虫と呼ばれたが

悔いはない 悔いはない

 

22歳の時4年遅れ

大学に入った

4年長生きすれば

元は取れる

悔いはない 悔いはない

 

26歳で官吏と教師にならず

野にありて生きると決めた

悔いはない 悔いはない

 

28歳で恋をした

時は流れて

今はもう女たちの名前さえ

覚えていない

悔いはない 悔いはない

 

友が去っていく

違う道があるのだろう

悔いはない 悔いはない

 

金融業に身を染めた

七人が首を括った

弱虫は死んでいく

悔いはない 悔いはない

 

父と母を看取った

母は喘息の発作が酷く

モル○ネを使った

悔いはない 悔いはない

 

50歳の時結婚した

割れ鍋にとじ蓋と言われても

悔いはない 悔いはない

 

65歳で神学校に入り

牧師になった

村の小さな教会

信徒はパラ、パラ

悔いはない 悔いはない

 

八十路になって

振り返ると後ろに

誰もいない 誰もいない

悔いはない 悔いはない

 

痛む脚と腰でコロニーを造った

小さな農園で野菜を作った

シンガーポールの友人たちが

やってくる 彼らに委ねても

悔いはない 悔いはない。