イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

6月18日(水):一本の語るもの

古代人が棲んでいたと思われる洞窟から、一本の骨が発見された。成人の脚の部分でその部位だけが残されていた。考古学者がそれを綿密に調べて見ると、驚くべきことが判ってきた。その骨には深い傷があり、骨の盛り上がり具合から、幼少の頃に負ったものであろうと推測された。いわゆる「障碍者」なのである。這うようにしか動けない、働けない、獲物を捕ることが出来ない。この人を古代人たちは育み、養い続けたのであろう。「役立たずは死ね」という社会ではなかったようである。洞窟に棲む古代人もまた、情愛の深い人たちだったのであろう。「障碍者」であっても成人に達するまで生かされ、そして、死に、一本の骨を残していた。考古学者は、一本の骨からそのことを学んだ。