自衛隊にいた頃、年に何度か宴会があった。スケジュールボードにその日は、徳利と杯の印がつけられ隊員に知らせる。私が部隊本部の事務をやっていたので、幹事役を仰せつかっていた。ところが新兵さんの幾人かは、
その日は、都合で出席できないと申し出て來る。「ほう、そうか、お前評判が悪いからな。参加しなければ何を言われるか分からんぞ。宴会では、不参加者は話題のタネだ、あることない事ミソクソ言われるからな~」ほぼ脅しである。こんなことを言うとたいてい「出ます。出ます」という・・・という具合に、部隊は一致団結して、料理屋で酒を酌み交わす。・・・・
実のところ、私も宴会はあまり好きではない。役目柄出来るだけ欠席者のないように努めるが、私自身が不参加希望者だった。元々下戸で、飲んだふりして、酔ったふりして、騒ぎ立てるのも性分に合わない。それでも
隊員の親睦を図らねばならない。いつも、困るのはかくし芸が、披露させられることである。うまいの者もいるし、下手なのもいる、出来ない者もいる。そこでの、私の十八番(おはこ)は武田節と決まっている。・・・
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甲斐の山々 陽に映えて
われ出陣に うれいなし
おのおの馬を 飼いたるや
妻子につつが あらざるや
あらざるや
祖霊まします この山河
敵にふませて なるものか
人は石垣 人は城
情けは味方 仇は敵
詩吟
疾如風・・ときことかぜのごとく
徐如林・・しずかなることはやしのごとし
侵掠如火・・しんりゃくすることひのごとし
不動如・・うごかざることやまのごとし
躑躅(つつじ)が崎の 月さやか
うたげを尽くせ 明日よりは
おのおの京を めざしつつ
雲と興れや 武田武士
武田武士
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芸のうまいのがいた。岩手から来ていた若者で、普段はあまり目立たないのだが、岩手県のある地方にだけ伝わっているらしい、わらべうたのようで、身振り手振りを加え、実に見事に演じた。一期3年で国へ帰ったので、名前は忘れたが、TVで放映してもいいくらいの「かくし芸」だった。こんな目立たない、田舎臭い小男が、よくもまぁ、こんな「芸」を持っていたものだと見直してしまったことがある。サラリーマンになってからの宴会は、面白くはなかった。先輩たちは、ネクタイをハチマキにして、ドンチャン騒ぎをしているだけのようで、私の十八番武田節は出番がなかった。武田節は、やはり兵隊さんがうたってこその武田節だったようだ。尤も音痴の私の武田節は、かなり怪しかった。どこかで、誰かが言っていた。音痴の人はたいてい武田節を歌うんだそうである。・・・うべなるかな・・・
今日は午前中少し晴れそうだったので、外の故障中の洗濯機を取り替えた
二槽式のふるいものだが、全自動よりこれがいい。何かと少しでも体を動かしていた方が健康に良い。ただし、癌の病気はこの逆で、出来るだけ安静にしていた方がいい。何故かというと。人間の体の細胞は、再生を繰り返す。忙しくしているとそれだけ、体内の細胞が活発になり、当然癌細胞の増殖が早い、安静にしていると、細胞の再生が少なくなる勘定だ。それで高齢者の病気の進行は緩るやかで。・・・・?・・・なんの話?・・・・