イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

5月19日(水):人間の道理 曽野綾子(3)

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・・・この世を正しく生きた人も、不当な目に遇う・・・

運の観念なしに今回の地震を見ることは出来ないのである。それはもっとも厳かで根源的な、そして誰にも操作できないちからである。つまり、どうしてあの人は死に、自分は生きていられたかとなると、「運」以外の答えを見つけることは困難だ。旧約時代の人々は、つまり、人間が何か悪いことをすれば、老、病、死という暗い結末をもって報いられると考えるほかなかった。しかし、この世を正しく生きた人も、しばしば不当な目に遇う。ことに今回のような、同じ小学校の同じクラスに通う子供が、一人は死に、一人は生きたという、この不平等に対しては、いかなる知恵者をもってしても充分な答えを出すことは出来ないだろう。まだ学齢に達していないような幼い子が、人間の罰として、死を受けなければならない理由は何処にもないからである。

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