イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

8月5日(木):ルカその後

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犬のマルが死んで二か月になる。あの子は生まれて目の開く前から育てたので、わたしを本当の親だと思っていた。そして、いつも一緒だった。犬も10年を過ぎると「夜泣き」するようになる。母親のポンもそうだった。近所迷惑になるので、その度に起きて行っては、抱いて頭をなでてやる。帰って床につくとまたしばらくするとなきだす。そんなこんなの繰り返しであった。・・・・・・

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突然の死だった。犬の死はそうらしい。警察犬を飼っている人も「クビン」をこの3月になくした。どうも少しおかしいなと思っていたらあっという間に死んでしまったと。今はコンドルというシェパードと毎日朝北欧の杜で会う。彼もかなり落ち込んでいた様子であった。

マルを失って私の「落ち込み」は尋常でなかった。乃木大将ではないが殉死したいほどであった。毎日、思い出の山や川、山林を、わけもなく車で駆け回った。

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アル

それが余りにも度が過ぎるので、ちえ子もとうとう、「犬を飼おう」と言い出した。そんなことがあって、隣の県のブリーダーに連絡を入れて見に行った。二匹いた。白いスピッツのような秋田犬とまだらな奴、白い犬は人懐っこくて、ものおじしない性格、まだらのルカは、軽トラックの下にもぐりこんでおびえていた。

私はこいつを選んだ。こいつを仕込めばいい犬になる。・・・・・

来た当初は、借りて来たネコみたいに、部屋の隅にうずくまっているだけだったが、段々その距離をちじめて来た。三日もすると、おやつの袋をカサコソ鳴らすと、椅子の袖まで鼻をのばしてくるようになった。毎朝のウオーキングもシャカ、シャカとついてくるようになった。廊下に寝そべっているのだが、「ルカ」と呼ぶと、トコトコと駆け寄ってくる。これで第一段階が終り。しつけはしない。「お座り」も「お手」も教えない、私の命令は二つだけ、「行け」と「来い」だけである。それで十分。・・・・・・

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昨年の11月生まれで、人間でいえば丁度二十歳になった頃、問題が一つある。犬の寿命は十数年、私がそれほど長く生きられるか自信はない。動物愛護センターの犬の譲渡が叶わなかったのはそれが原因だったように、残される犬の処遇が誰も気をもむ。それで、敢えて、血統書付きの秋田犬を連れて来た。血統書付きの秋田犬なら、誰も「殺処分」にはしないだろう。必ず誰かに飼ってもらえるはずだと、考えてのことである。マルはひたすら私に従順だった。ルカもそのように育てていく。私はいつも思う。犬がひたすら飼い主を見上げるように、主を見上げていきたいものだと、私が犬を見るように、主もまた私を見つめておいでなのだと。・・・・・・

買い物から帰ると、開口一番、ちえ子は「アル、アル、アル、」と愛猫の名を呼ぶ。私は私で。「ルカ、ルカ、ルカ」と愛犬の名を呼ぶ。

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こいつはマルの二歳年上の子、14歳になる、隣町の鉄工所にいる。