数年前だろうか、玄関先に一匹のノラ猫が、毎日姿を現す様になった。最初は、放っておいたのだが、何日も続くので、可愛くなり餌を与え始めた、ノラ猫の割には毛並みもよく、綺麗な猫だった、そのうちちえ子がその子に、「チャロ」と名前をつけて呼ぶようになった。ただ、ノラ猫の習性か、名前を呼んでも、一定以上は近づいてこなかった。そのうち、もう一匹のノラが同じように姿を見せるようになった。ところがこのノラは、チャロとは大違いで、非常に身なりが悪かった。体も薄汚れていて、愛想もなかった。そんなことで、私たちはその薄汚れたノラには、一度も餌を与えることはなかった。そんなことがしばらく続いていたが、ある朝、いつものように、チャロに餌をあげたのだが、その日は、何故か、直ぐには食べなかった。「お腹が空いてないのだろう、そのうち食べるだろう」。と思い、そのまま、家の中へ帰った。しばらくして、玄関先に戻ってみると、何と、あの不細工なノラがしきりに餌を食べているではないか、そして、その傍らには、キチンをチャロが正座しているではないか。チャロは、自分に与えられた餌を、ノラに食べさせていたのである。その二匹の猫が、親子、なのか、夫婦、なのか友達なのかは私たちには判別できないが、この「チャロ」謙譲、美徳、思いやりが、いたく私たちの心を感動させた。ノラが食事にありついている様を、何となく涙ぐむような思いにさせられたものだった。以来、私たちは、ノラが来ても、チャロが来ても同じように餌を与えるようになった。そうしたことがしばらく続いたが、その後、どうなったか、あまり記憶にない。ノラ猫の寿命は数年位と言われているが、・・・・・・それにしても、我が家の、「アル」日増しに生意気になって来ている。この家で、自分がいちばんエライと思っているようだ。少し、甘えさせ過ぎてしまったが、それでも、アルが来てから、7年近くになる、多分、御年80歳
は越えているだろう、・・・・・・
