イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

1月4日(月):一本の木のように 八木重吉

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きりすとを おもいたい

いっぽんの木にようにおもいたい

ながれのようにおもいたい

 

信ずること

キリストの名を呼ぶこと

人をゆるし出来るかぎり愛すること

それを私の一番よい仕事にしたい

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病気して

いろいろ自分の体が不安でたまらなくなると

どうしても怖ろしくて寝つかれない

しかししまいに

キリストが枕元にたって

じっと私をみていて下さるとおもうたので

やっと落ちついて眠りについた

 

私の心には

静かな風景がある

寂しい耶蘇が歩んでいる

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私はくるしい

私は怖ろしい

私は自分がたより無い

私は基督に救ってもらいたい

それが最後のねがいだ

 

耶蘇が

そっと手をふれたら

水が酒になった

そして婚礼の席がにぎやかになった

 

祈り

ゆきなれた路の

なつかしく耐えられぬように

わたしの祈りのみちをつくりたい

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神の道

自分が

この着物さえぬいで

乞食のようになって

神の道にしたがわなくてよいのか

かんがえの末は必ずここにくる

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花はなぜうつくしいか

ひとすじの気持ちで咲いているからだ

 

ばった よ

一本の 茅をたてにとって身をかくした

その安心をわたしにわけてくれないか

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虫がないている

いま ないておかなければ

もうだめだというふうにないている

涙をさそわれる

 

素朴な琴

このあかるさのなかへ

ひとつの素朴な琴をおけば

秋の美しさに耐えかねて

琴はしずかに鳴りだすだろう

 

ねがい

どこを

断ち切っても

うつくしくあればいいなあ

 

草に すわる

わたしのまちがいだった

わたしのまちがいだった

こうして 草にすわれば それがわかる

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縁側に腹ばい

自ら殺すことをそっと考えていた

 

みんな寝ている

妻も 桃子も 陽二も

みんな ぐったり 疲れて 寝ている

私はそれを見て勇気が出た

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妻が私を信ぜぬとき

妻が私を慰めてくれぬとき

私のとるべき道は二つある

死か

悪魔になるか・・・その二つである

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