きりすとを おもいたい
いっぽんの木にようにおもいたい
ながれのようにおもいたい
信ずること
キリストの名を呼ぶこと
人をゆるし出来るかぎり愛すること
それを私の一番よい仕事にしたい
病気して
いろいろ自分の体が不安でたまらなくなると
どうしても怖ろしくて寝つかれない
しかししまいに
キリストが枕元にたって
じっと私をみていて下さるとおもうたので
やっと落ちついて眠りについた
私の心には
静かな風景がある
寂しい耶蘇が歩んでいる
私はくるしい
私は怖ろしい
私は自分がたより無い
私は基督に救ってもらいたい
それが最後のねがいだ
耶蘇が
そっと手をふれたら
水が酒になった
そして婚礼の席がにぎやかになった
祈り
ゆきなれた路の
なつかしく耐えられぬように
わたしの祈りのみちをつくりたい
神の道
自分が
この着物さえぬいで
乞食のようになって
神の道にしたがわなくてよいのか
かんがえの末は必ずここにくる
花
花はなぜうつくしいか
ひとすじの気持ちで咲いているからだ
ばった よ
一本の 茅をたてにとって身をかくした
その安心をわたしにわけてくれないか
虫がないている
いま ないておかなければ
もうだめだというふうにないている
涙をさそわれる
素朴な琴
このあかるさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしずかに鳴りだすだろう
ねがい
どこを
断ち切っても
うつくしくあればいいなあ
草に すわる
わたしのまちがいだった
わたしのまちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる
縁側に腹ばい
自ら殺すことをそっと考えていた
みんな寝ている
妻も 桃子も 陽二も
みんな ぐったり 疲れて 寝ている
私はそれを見て勇気が出た
妻が私を信ぜぬとき
妻が私を慰めてくれぬとき
私のとるべき道は二つある
死か
悪魔になるか・・・その二つである