・・・・序文・・・・
『あなたは、祈るときには自分の奥まった部屋に入りなさい。そして、戸をしめて、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます』
・・・・・マタイの福音書6章6節・・・・・
内なる生活は、最も重要な思想を暗示します。毎日退いて、静まる事の必要、真の祈りの霊、神の言葉である聖書をデボーションで読むこと、そして、神との交わり。これらの要素はみな、私たちのデボーションを、喜びと力の源とするための役割を果たしているのです。また、霊的生活を強め、この世のまじわりの中で毎日の義務を果たしているのです。私は、この心理を系統的に取りあげようとしているのではありません。私が与える断片的なものが、内なる命およびおよびそれの神との交わりの養成に何らかの助けをもたらすことをのぞんでいるのです。・・・・・・
私の住んで要る南アフリカの国では、オレンジの木を種々の病気が冒します。そのうちの一つは、根の病気というなで一般に知られています。木はまだ実を結んでいるかもしれませんが、普通の人が見て、何も悪いところに気付きません。しかし、専門家には、徐々に死が始まっているのが分かります。葡萄園のフィロキセラは根の病気です。そして、この古い根は切り捨てて新しいものを与えるほかに療法がないのです。葡萄の古い種類は、アメリカ産の根に接がれます。幹も枝も実も前と同じですが、根は新しく、病気に抵抗するようになってきます。病気にかかっているのは植物の目に見えな部分で、治療はそこから始めなければなりません。・・・・
キリスト教会とそれに属する多くの信徒たちは霊的生活がこの根の病気にどんなに苦しんでいることでしょう。クリスチャンの生活で、この世に抵抗することの弱さを説明するものは、ひそかな祈りの欠如です。豊かな実を結ぶことの失敗を説明するのは、「キリストの中に根ざし」「愛に根ざし、愛に基礎を置いている」隠れた生活の維持がなおざりにされていることです。信者の生活において、これを変えることの出来る唯一のものは、密室の祈りです。クリスチャンが、神とひそかな個人的交わりを主要な関心事とすることがどういうものかを学ぶにつれて、真の敬虔さが現れて來るでしょう。「根が聖ければ、枝も聖いのです。」もし朝の時間が主に対して聖いなら､勤めを持ったその日もまたそうなるでしょう。
追記：「あやまった祈り」・・Ｗ・バークレー。
イエスは祈りについて、二つの重要な規則を示された。
（１）・・真実な祈りは神にささげられなければなたない、とイエスは言われた。イエスが非難された人たちの本質的欠陥は、彼らが、神に祈るのではなく、人に祈ったことであった。ある有名な説教者が、ボストン教会でささげられた修飾の多い美文の祈りを評して。「ボストンの会衆ににささげられた最も雄弁な祈り」と言った。その牧師は神と交わるより人に聞かせることに心を使ったのである。人の前で祈る時も、一人で祈る時も、神を思い、神を求める以外の心を持ってはならない。・・・・・
（２）われわれが祈る神は愛の神であり、われわれの願いにまさって祈りにこたえようとしておられる、とイエスは言われる。神の賜物や恵みは神に強要するものではない。神はねだったり無理押ししなければ祈りにこたえられない方ではない。われわれが祈る神は、与えることをただ一つの願いとしておられる方である。このことを覚えているならば、神に祈る時に、心の願いを僅かでもあらわし、口で「みここころをなしたまえ」というだけでよいのである。
