イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

7月7日(水):the call of the wild 野生の呼び声

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本書の口絵。棍棒を持つ赤シャツの男とバックの対決

Buck did not read the newspapers,or he would have known that trouble was brewing not alone for himself,・・・・

犬のバックは新聞を読まなかった。もし、読んでいたら、面倒な事態が起こりかけているのに気づいていたであろう。

ジャック・ロンドン出世作とも言えるこの中編小説を読んだのは、22歳の頃であった。最初は、英文のテキストで読み始めたが、10ページくらい読むともてあましてしまった。しかし、内容が面白いので、今度は日本語版を買い求めて、読んだ。かれこれ半世紀以上前のことである。・・・・

最近改めてこの本を読みたくなって、図書館から借りて来て読んでみた。

物語のあらすじ・・・

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アラスカはゴールド・ラッシュに沸き立った

物語は、カリフォニア州サンタクララバレー(現在ではシリコンバレーの一部として知られる)で幕を開ける。セントバーナードスコットランド系牧羊犬の雑種であるバックは、ミラー判事の飼い犬として快適な生活を送っていた。体重63キロもある大型犬である。しかし、バックは4歳のある日、庭師助手にさらわれ、売り払われてしまった。彼は、シアトルの犬販売業者「赤いセーターの男」と出会ったとき、輸送中の虐待に対する怒りまかせて襲いかかるが、逆に棍棒で殴られ、棍棒を持つ人間には逆らわないことを学ぶ。・・・・・・・

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バックは、シアトルで二人組のフランス系カナダ人に買われ、カナダのユーコンクロンダイク地歩に移動し、そり犬をして働くようになる。その地でバックは、そりチームメイトの犬を観察し、寒い冬の夜と群れでの生き残りかたをすばやく学ぶ。性悪な先導犬(リード・そりの先頭になる犬)であるスピッツとバックは対立するが、最終的にはバックがスピッツに戦い、勝つ。この戦いで負けたことによって、スピッツエスキーモー犬の群れに殺される。バックはスピッツに代わって先導犬となり、優れたリーダーシップを発揮するようになる。・・・・・

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政府命令によって、そりチームは、郵便で働くスコットランド系混血の男に引き渡されて、重い荷を運ぶことになる。そり犬たちは、満足に休みをとれないままに郵便そりで酷使された。その結果、疲れはてて使い物のならないほどに弱ったと判断された犬たちは、売り払われることになった。

バックたちのチームは、ハル、ハルの姉、マーシーディーズと、その夫の三人組に売却される。この三人組は北の荒野での経験が浅く、そりについても犬についても素人であり、多くの犬を死なせながら無謀な旅を行うことになる。・・・・・・

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三人組とそり犬たち一行は旅の途中で、経験豊富なアウトドァマンである。ジョン・ソートンに出会う。ソートンは、川の氷上のそり道を通るのは危険だと警告するが、三人組は警告を拒絶して犬たちに動き始めるように命令する。バックは疲れており、氷が割れそうであることを察知して、動けない振りをして命令にしたがわなかったあ。怒ったハルはバックを棍棒で打ち据えるのを見たソートンは、バックを助けて三人組から引き離し、保護した。三人組は警告を無視し、バックを残したまま、そり道を進んで行ったが、間もなく、バックとソートンが眺めているうちに、川の氷が割れて、犬そりとと一緒に川の中に消えてしまう。・・・・・

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ソートンはバックを健康になるまで世話をし、その後も愛情をもってバックを扱う。バックもそれに応じて、ソートンを愛するようになりソートンには献身的に振る舞うようになる。だが、そり犬のときに身につけたものは消え去っていなかった。・・・・・・

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その後、ソートンと二人の仲間は、バックたち数匹の犬と金採掘の旅にでて、運よく金を見つけ出す。ソートンたちがその地で近の採掘をする間、

バックは周囲の森に出かけるようになる。森の中で狼と出会って交流する中で、バックは野生への思いを強めるが、一方ではキャンプ地に戻りソートンとふれあう愛情にかられることもあった。・・・・・

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ある日、バックが森の狩りから戻ると、キャンプ地でソートン一行がインデイアンたちをの集団に襲われており、犬たちやソートンの仲間が殺されていた。バックは、そのインデアンたちを襲い復讐を果たした。その後、バックはソートンを捜したが、見出すことはできなかった、ソートンの足跡が湖の岸辺まで続き、そこで途絶えていた。バックはその湖の底にソートンが沈んでいるのを見いだすことはできなかった。しかし、バックはソートンが死んだことを悟った。・・・・・・

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その後、狼の吠える声に引き寄せられ、自然に生きる彼らの群れに入っていった。そして、バックは狼の群れの先頭に立つようになる。物語の終わりでは、バックはインデイアンに幽霊犬と恐れられる存在となった。ある狼(幽霊犬)が毎年、夏になるとソートンが死んだ谷に現れ、長い遠吠えをあげて去っていくが、そのことは人々には知られていない。

この物語は、アラスカの凍土にゴールドラッシュが起きた時代を背景に書かれている。アラスカで金鉱が発見され、世界中の多くの者が、一獲千金を狙って、殺到した。その数は一説によれば25万人にも上ったという。

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