イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

8月30日(火):アブラハムの召命 (伝説2)

アブラハムが数多くの羊や家畜の群れを見て、母親に「この家畜の主人は誰ですか」とたずねると、母親は、「父のテラです」と答えた。 「ではテラの主人は誰ですか」と聞き返すと、「ニムロデです」と答えた。 「ではニムロデの主人は誰ですか」と問い続けると、母親は「そんなに問詰めるのはやめなさい」と言った。 そのときすでにアブラハムの心の中は、すべてのものの主である神に向かっていた。 ・・・・・・

アブラハムの父テラは、一か月に一つずつ合計12の偶像を拝むほかに、自分でも偶像を作っていた。 ある日、アブラハムが店番をしていると、客が偶像を買いに来た。 アブラハム客の年齢を聴くと、50歳とか、60歳とか答えた。 そこで、アブラハムは言った。 「こんな年齢になって、一日でできたものを拝むとは、何と気の毒なことか」と言った。 ある日、70歳になる人が元気な年寄りが偶像を買いに来た。 アブラハムはその人の年齢を聞いてから、「あなたより年若い神を拝むのは馬鹿げたことです」と言った。 ・・・・・・

ある女が神々に供えるために食べ物を持って店に入って来た。 アブラハムは偶像を一つだけ残して、あとは全部たたき壊した。 一つだけ残った偶像に、偶像をたたき壊した棒を持たせておいた。 父親のテラが帰って来て、アブラハムを叱りつけると、アブラハムは言った。 「お父さん、女の人が神々に供える食べ物を持って来たところ、みんなの神様が欲しがったので、一番強い神様が、自分だけ食べようと思って、他の神様の頭を叩き壊したのです」。 テラが「木や石でつくったものがそんなことができるはずがない」と言うと、アブラハムは「今のお言葉の通りです」と答えた。 ・・・・・・・

これらの伝説は、当時の人たちが拝む偶像に満足せず、まことの神を求めるアブラハムの姿をよく表している。 アブラハムはこのような人であったから、神の召しがかかった時に喜んで神に従い、見知らぬ地へ旅立った。 アブラハムは最も優れた、信仰の模範である。