イミタチオ・クリスティ

村の小さな教会

2月7日(水):小鳥への説教

ふと道端の一本の樹を聖フランシスコは見た。その樹にはあらゆる種類の小鳥がいた。ついぞ今までにこの地方に見かけない鳥さえいた。地上にも。樹の下にもたくさんいた。このおびただしい小鳥を見た時、、天の霊がフランシスコに降り、フランシスコは弟子たちを振り返り「ちょっと待ってください。私は小鳥の姉妹たちに説教しましょう!!!」。と言った。そこでフランシスコは、地上の小鳥たちの方へ歩んだ。説教が始まるか、はじまらないうちに、樹の上の小鳥たちははばたいて、フランシスコの所に降りて来た。フランシスコの衣が何羽かの小鳥に触れるほど近寄っても、少しも身じろぎもしなかった。フランシスコは小鳥たちに話す。「私の姉妹、小鳥たちよ、あなたがたは沢山の御恩を神から受けている。それでいつも、どこでも神を賛美しほめたたえなくてはなりません。何故でしょう。あなたたちはどこへでもあなたの行きたいところへ飛んでいける。そして、二重にも三重にも重ねられたその着物や、色とりどりの美しいその衣裳や、また生きるために働く必要のない食べ物や、創造主があなた方に教えられた綺麗な声のためです。あなたがたは種まくことも、刈り取ることもしませんけれども、神はあなた方を養っておられます。飲むためには川や泉を、身をかくまうためには山だとか丘だとか、崖だとか、岩だとかを。また、あなた方ねぐらを造るためには高いもろもろの樹をお与え下さっている。あなたがたは紡いだり、織ったりすることはできないけれども、神はあなたたちや子供たちのために必要な着物をお与え下さっておられる。このように大きな恵をあなた方に創造主はお与えになっておられるから、あなたがたは創造主を深く愛しなさい。あなたたちは恩知らずでないように、神を賛美することにいそしむように、よく気をつけるのですよ!!!」

この聖なる言葉が終ると、この小さな小鳥たちは、嘴を開けて、はばたいて、首をのばし、うやうやしく地に頭を垂れて始めた。そして歌と踊りでフランシスコの話が非常に楽しかったことをあらわした。フランシスコはこれを見て、心がわくわくとして歓びにたえなかった。こんなにたくさんのしかも種々異なった小鳥がなついて来る。聖フランシスコは、小鳥たちに創造主だけを賛美するように、優しくすすめた。。・・・・

こうしてフランシスコは説教し、神を賛美するように勧めおえると、小鳥たち一同の上に十字架の印をした。すると、小鳥たちはすぐさま舞い上がり、力強くさえずりながら、別れて飛んで行った。

アシジの街全景。この町の両端に、フランシスコの修道院、一方にクララの修道院がある。