歳とったせいか、このところずっと昔のことばかりやたらと思い出す。そうかな?。とちえ子に聞くと「そうだ」。と言う。聞かなければよかった。・・・・母方の祖父は、神官で、教育者で田舎のことではあるが、教育長まで務めた人である、代々そうでその息子も同じであったが、わたしの覚えているのは、宗教家としての「威厳」のある祖父である。母に連れられて実家に行くといつも、祖父に挨拶するように言われた。「よっちゃん、おじいちゃんに挨拶して」と。そう言われて、床の間に入って行くと、祖父は床の間に正座して待っていた。奇妙なことに誰から教わるでもなく、私は祖父の前で正座し、畳に頭をこすりつけるようにして挨拶したものであった。今の時代「孫」と言う歌が出来て流行り、世の中は、おじいちゃんが孫に頬ずりするような時代である。・・・私は、幼い心の中で、この人は神様にお仕えしている人なのだな、とおぼろげに感じたものであった。・・・・ちえ子の姉、川村さち、川村牧師につらなる人たちおられたのは、牧師を目指す者にとっては、どれほど支えになったかははかり知れない。「身内」に、牧師4名、宣教師1名、まことに心強い。牧師は特殊な職業である。およそ、同僚の牧師、よほど肝胆相照らす中でもない限り「厄介」な存在である。善意のかたまりのような、信徒さんの言葉は、牧師の心臓を射抜く、優しい信徒さんに囲まれていると、いつの間にか、裸の王様、になってしまう。・・・・それでも、これまで、多くの人たちの出会いを通してここまで、来られたのかもしれない。その一つ、一つの出会いを、今は、なるほど、なるほどと思っている。